(4)村人Dは現実が怖い。
村人Dは、いつもその場凌ぎのような生き方をしてきました。
将来像を明確に思い浮かべることができず、「なんとなく」生きてきました。
なんとなく、近所の高校に行きました。
なんとなく、自宅から通える範囲の大学に行きました。
なんとなく、大企業で聞こえのいい職に就きました。
自分で選んだわけではありません。
全て「他人にどう思われるか」で選んできました。
なので、選んだ理由なんてありません。
しかしそんな生き方は長く続きません。
今まで「自分で決める」レベルを上げてなかったツケを消化しなければならない時が来ます。
「自分で決める」レベルを上げるには「自分を理解しているか」のレベルも高くしなければなりません。
村人Dは自分のことを理解していません。
何が好きかもわかりません。
他人に「何の食べ物が好きか」と訊かれても「まあ、寿司が好きですね。(特に理由はないけど)」と当たり障りのない返事をしてきただけです。
村人Dは自分のことを理解したくないという感情があります。
平凡な自分と直面したくないからです。
村人Dには理想がありました。
勇者になってかっこよく世界を救うという理想です。
理想というより、何の努力もしていない村人Dにとっては幻想です。
しかし村人Dは何をするわけでもなく、自分が作った幻想の中で生きています。
幻想の中では勇者なので、自分に幻滅しなくて済みます。
それが現実の自分を見るとどうでしょうか。
平凡以下の私、なんとなく生きてきた私、特に誇れる特技もなく、社会にもまともに出ていない私。
怖くなったのです。
幻想の中で生きていたいのです。
村人Dもわかっています。現実を直視し、受け入れていかなければならないことを。
自分を理解し、どんなにしょうもない自分でも生きていかねばならないことを。
村人Dは、分かっているのです。