(3)村人Dは「執着」に気づいた。
村人Dは自分の人生を模索し始めました。
しかしうまくいきません。
何をやっても長続きしないのです。
環境の変化に弱いのもありますが、そもそも何にも興味がわかないので何をしたら楽しいのかわからないのです。
「楽しい」と感じるセンサーも弱いのです。
村人Dは自殺を考え始めました。
何のために生きているのか分からなくなったからです。
しかし、それも前進です。「何のために生きるか」と考えずに生きてきたのですから。
村人Dは焦っています。
答えを早く知って安心したいからです。
しかし「何のために生きるか」の答えはありません。
村人Dは答えがないのを知っています。
しかし、「答えを知ったことによる安心感」が手に入る幻想に執着しています。
村人Dが主人公になるために必要なキーワードは「執着」です。
村人Dは執着心が強いのです。
執着していないと何に縋って生きていけばよいのか分からなくなるかもしれないと思うと不安なのです。
それもまた執着です。
村人Dは村人Dであることに執着しています。
主人公になった自分はどうなるのかわからないから、主人公になりたいと思いつつ村人Dであることに執着しているのです。
変化が怖いのです。
人はそんなものです。変化が怖いのです。村人Dも例外ではありません。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えはありません。
教科書にも書いていません。マニュアルなんてありません。
「執着」がキーワードなのはわかっています。村人Dは、頭ではわかっているのです。
「執着」
村人Dは執着を考えることにしました。
一歩前進です。
村人Dは着々とレベルを上げます。
亀より遅いかもしれません。苦しい道のりかもしれません。
それでも村人Dは、村人Dという人生の主人公になりたいのです。