(2)村人Dは「寂しい」に蓋をした。
村人Dは、愛された子供時代を過ごしてきました。
両親が小学校に入学する直前に離婚したため引越したりもしましたが、いつも通っていた大好きな祖母と一緒に暮らすことになり、満たされた生活をしていました。
しかし状況が変わったのは小学校に入学してからです。
村人Dは大きな環境の変化に弱かったのです。
謎の頭痛によりよく保健室に行きました。
教室にいるだけで息が詰まっていました。
更に、母親が私たちを養うために働くようになりました。
村人Dは放課後は児童館に預けられました。
今まで感じたことのない、「寂しい」を感じるようになりました。
村人Dは徐々に元気がなくなっていきます。
でも、村人Dは「寂しい」と言えませんでした。
どんどん「寂しい」が貯まっていきます。
しかし村人Dは「寂しい」を感じないようにしていました。
いっぱいになった「寂しい」にむりやり蓋をしました。
村人Dはもっと元気がなくなっていきます。
でも、元気なふりをしていました。「寂しい」に蓋をし、感じないようにしていたため村人Dも自分が何を感じているのかわからなくなります。わからないのでとにかく周りの求めるいい子を演じ始めます。
村人Dはもっともっと元気がなくなっていきます。
自分の為に生きるということが分からなくなっていきます。
楽しいと感じなくなっていきました。面白いとも、悲しいとも、何かをやりたいとも思わなくなっていきます。
そして、村人Dができました。
自分の価値を見出せない、自分を信じることができない、生きている実感もない、
虚無の中で生きている、村人Dが。