(24)村人Dは勇者が嫌い。
村人Dは勇者のことが嫌いです。
長い長い旅をしてても元気で、背中を預けられる信頼する仲間がいて、それなりに偉い人との人脈もあって、見ず知らずの他人に話しかけるコミュニケーション力もあって、そして怖い洞窟にも臆せず入り、恐ろしい魔物と戦って勝利し、目的のためにまた去っていく・・・。かと思いきやいきなり現れるも住民は歓迎・・・。
全て嫉妬なのはわかっています。
けど、村人Dにとって勇者の存在は気に食わないのです。
村人Dには勇者は楽して、元々、生まれつきで、運が良くて、そんなかっこいい人になっていると思っています。
しかし本当に勇者は生まれつき勇者なのでしょうか。
いいえ。むしろ苦悩と葛藤しかない日々なのかもしれません。
人とのコミュニケーションが苦手で、住民に話しかける時も冷や汗をかいているのかもしれません。
実際は利害が合致しているだけで、仲間と思っていないのかもしれません。
人の内面は見れません。普通に振る舞っていても、見えない苦悩と葛藤を内面に抱えているのです。特に、かっこいい、すごい、天才、と賞賛される人ほど謙虚に自分のことを客観視しています。そして人の何倍も努力しています。人の何倍も勉強しています。
村人Dは「陰の努力」に気づくべきです。
地道で、単調で、泥臭い。
全て持って生まれるわけではないのです。
皆努力しているのです。
何もしてませんみたいな顔で努力しているのです。
村人Dも、陰である必要はないですが、何かに打ち込み努力した経験を得ると、勇者を見る目が変わるのでしょうか。
皆、必死に生きているのです。